次女が生まれる前から始まっていた不安な日々
次女が生まれる前、私たちはひとつの不安を抱えていました。
妊娠中の検査で、左心房が小さいという診断。
生まれたらすぐに大学病院へ搬送される――そう告げられました。
その日から、私たちの“日常”は少しずつ変わりました。
次女が無事に生まれたあと、妻と次女は1か月間の入院生活。
小さな体にチューブがつながれた姿は、見ているだけで胸が締めつけられました。
「経過観察で大丈夫でしょう」と医師の言葉を聞いたとき、
心の底から安堵したのを覚えています。
その1か月間、私は2歳の長女を母がたの祖母に預け、
仕事が休みの土日に会いに行くという生活を続けました。
寂しい思いをさせていることはわかっていても、どうすることもできない。
小さな手を握りながら「もう少しだけ頑張ろうな」と声をかけるしかありませんでした。
長女は今でもときどき、「あの時、寂しかった」とこぼすことがあります。
それを聞くたびに、あの頃の自分の無力さを思い出します。
ようやく次女と妻が退院し、4人で過ごせるようになったときは、
家にあたたかい空気が戻ったようでした。
ただ、安心ばかりではありません。
次女は自宅でも酸素チューブが必要で、夜中に何度も機械の音が鳴る。
それが止まるたび、心臓が跳ねるような日々でした。
それでも、少しずつ状況はよくなっていきました。
成長とともに酸素チューブは寝るときだけになり、
5歳のときには小さな手術で済むことに。
2週間の入院を経て、無事に退院できた日のことを、今も鮮明に覚えています。
ただ、その後も偏頭痛に悩まされることがあり、
その姿を見るたび、胸の奥が締めつけられます。
私自身も高校生のときに同じ病で手術を経験しており、
正直、「この家系を恨んだこともあった」と思い返します。
けれど今は違います。
看護師である妻の冷静さと強さ、
何より子どもたちが見せてくれる小さな勇気に支えられて、
私たちはここまで来ることができました。
家族は完璧ではなくても、支えあえる。
誰かが弱っているとき、誰かがそっと寄り添う。
その積み重ねが、時間をかけて“強さ”に変わっていくのだと思います。
振り返ると、あのときの不安や孤独、無力感のすべてが、
今の「家族の絆」をつくるために必要な時間だったのかもしれません。
これからもきっと、困難は訪れるでしょう。
でも、あの日々を乗り越えた私たちなら、また前を向ける。
小さな体に宿った大きな勇気が、家族全員の強さに変わったのだと、
今なら胸を張って言えます。
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