長女とハリネズミ――小さな命がくれた大きな気づき

家族の記録

家族×命 小さな出会いが教えてくれた「やさしさのかたち」

長女が小学4年の冬、わが家に小さな新しい家族がやってきました。
ハリネズミのくーちゃんです。

動物好きな長女に、マンションでも飼えるような小動物を――。
そんな思いから、長女と話し合いを重ね、流行りのハリネズミがいいのではということになりました。

その出会いは、いくつかのハリネズミカフェを訪ねていたときのこと。
机がケージになっていて、数匹のハリネズミたちが丸まって眠っていました。
その中で、ひときわ小さく丸まった一匹に、長女は心を奪われました。
帰る頃には、「この子をおうちに迎えたい」と真剣な顔で言っていたのを覚えています。

ハリネズミは、とても臆病な生き物です。
人に慣れるまで時間がかかり、少しの物音でも体を丸めて針を立ててしまう。
でも、長女はそんな性格をちゃんと理解していて、焦らずゆっくりと距離を縮めていきました。

最初のうちは手袋をしていましたが、
いつの間にか「素手で触ったほうが慣れてくれる気がする」と言い出し、
痛みに顔をしかめながらも、そっと優しく手を差し出していました。

その姿を見ながら、私は思いました。
――愛情って、言葉ではなく、こうやって形になるんだな、と。

日が経つにつれ、くーちゃんは少しずつ人に慣れていきました。
夜になると、ケージの扉が開くのを待つように身を乗り出し、
長女の手のひらにちょこんと乗って安心したように仰向けで
すやすや眠る。長女にはベタ慣れで、
その姿は、まるで家族の一員のようでした。

そんな穏やかな日々が、2年ほど続きました。

けれど、2023年の冬。
くーちゃんの口元に小さな腫れが見つかりました。
動物病院で診てもらうと、腫瘍の可能性があるとのこと。
通院し、薬を与え、長女は一生懸命に看病を続けました。

しかし病気はゆっくりと進行し、
中学1年の初夏、くーちゃんは静かに息を引き取りました。
寿命は6~7年と言われていますが、3年間という短い時間の中に、
たくさんの愛情と学びが詰まっていました。

最期の日、長女は泣きながらも「ありがとう」と言いました。
その言葉には、悲しみだけでなく、確かな感謝がありました。

今、長女は「動物の看護士になりたい」と話しています。
命と向き合ったあの経験が、きっと彼女の夢の原点になっているのでしょう。

思えば、くーちゃんが教えてくれたのは、
“やさしさとは、手間を惜しまないこと” なのだと思います。
痛くても、忙しくても、毎日世話を続けたあの時間。
その積み重ねが、いつしか「思いやり」という確かな形になっていました。

暮らしの中の小さな出会いが、人生の方向を変えることがある。
家族として過ごした3年間は、
「命に向き合う」ということの本当の意味を、娘に、そして私たち家族に教えてくれました。

くーちゃんが残してくれた“やさしさの記憶”は、
これからもきっと、娘の中で静かに生き続けていくと思います。

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