【体験談】思春期の娘にファンレターを書いたら泣いて喜ばれた話|“父親×推し活”で伝わった想い

家族の記録

ファンレター×思春期の娘 ― 伝わらなかった愛が届いた日 ―

思春期の娘との距離感に悩んでいるお父さんは、きっと少なくないと思います。
私もその一人でした。中学3年生の長女とはここ2〜3年、まともに会話ができず、話しかけてもそっけない返事。近づけば避けられる。そんな日々に、父親としての無力感や不甲斐なさを感じていました。

どうにかして気持ちを伝えたい。でも、面と向かって「愛してる」なんて言えば、絶対にドン引きされる。そんな葛藤の中で出会ったのが、黒川伊保子さんの『思春期のトリセツ』『娘のトリセツ』でした。
「思春期の娘は、父親を拒否して当然」「嫌っているのではなく、距離を取ることで成長している」――そんな言葉に救われ、少しだけ気持ちが軽くなりました。

それでも心の奥では、「このまま何も伝えずにいていいのだろうか」というもどかしさが残っていました。
そんな時に手に取ったのが、三宅香帆さんの『「好き」を言語化する技術』。この本の中で、「推しの対象は何でもいい」「ファンレターは“好き”をまっすぐに伝える最強の手段」と書かれていて、ハッとしました。

“そうか、父親としてじゃなく、一人のファンとして伝えればいいのか”。

そう考えると、心がすっと軽くなりました。
上から目線にもならず、説教っぽくもならず、ただ純粋に「あなたが好き」「応援してる」と書けばいい。そうして、受験1週間前の夜、私は娘へのファンレターを書き上げました。

フォートナイトを楽しむ姿、笑っている声がうれしいこと、そしてこれからの人生を応援していること――言葉を選びながら、まるで“推し”に手紙を書くように。
渡す役目は妻にお願いしました。直接は照れくさくて無理だったからです。

1時間後、妻からLINEが届きました。
「ファンレター、泣くほど喜んでたよ」

その言葉を見た瞬間、胸がいっぱいになりました。
そしてさらに驚いたのは、次女からも「私にもファンレターほしい!」と言われたこと。

“娘との距離を埋める方法”を探していたはずが、“推し活”という形で心がつながったのです。

ファンレターを書く時間は、2時間ほど。でも、その2時間で得たのは、3年間分の距離が少しだけ縮まった感覚でした。

父親としてではなく、“一人のファン”として伝える。
この小さな「掛け合わせ」が、親子の関係をやわらかくしてくれた気がします。

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